報告書

二十代終わりにして初めてバイクを買った者の忘備録

①二十代終わりまで全くバイクと関わりなかったインドアオタクがバイクを買うまでの軌跡と教習所地獄

 

私は確か、大型バイクを先日納車した筈だ。そして、それを機にこのブログを始めようと、納車の感想を新鮮なうちに書き記そうと思っていた筈だった。

 

しかし、私はいま、何故かバイクを乗り始めたところから自分語り記事にしようとしている……。

そういえば、私は映画は1からじゃないとちゃんと見れない人間だった。スターウォーズを1から順に見て若干後悔してもなお、私は一から話を進めていきたい人間のようだ。人間はなかなか変われない。

 

バイクについての最初の記憶は学生時代だ。学生寮の同部屋の奴がバイク雑誌を読んでいた。

高校時代から興味の範囲は漫画と映画にしか向いてなかった自分としては、今どき珍しい奴だなぁって思った。自分の周りにはバイクに乗ってる奴なんて一人もいなかった。

 

次の記憶は、社会人入社3年目の時、新人社員との会話だ。新人に趣味を聞いたところ、バイクです!今は、〇〇に乗ってます!って答えてきた。(バイクに何の興味も無かった自分は何の機種なのか単語を聞き取れきれなかった。バイクを調べ初めてドラッグスター400と言っていた事が分かった)

私は多分、バイク危なくない??とかバイク乗りにしたら夜になると暗くならない??と同格レベルのクソレスをかましてたと思う。

 

徹頭徹尾、バイクと縁がない人生だ。なんなら、自分が知らない事を正当化する為に、バイクなんて非効率なモノに乗ってる奴はバカだと思ってさえいた。それ自体は若干間違えじゃなかったけど。

 

そもそも、自分自身の問題として私は車の運転が嫌いだ。高校の卒業と同時に自動車運転免許を取得したが、死角は多いし、幅間隔は難しいし、何よりぶつけたらとても面倒な車の運転はずっと嫌いだった。車が嫌いなのに、ましてやバイクなんてもってのほかだ。

 

車嫌いが祟り、現在のド田舎環境で勤務してからの生活圏内は自転車で行ける範囲で、車を購入したローンについては税金を払っているものだと思い込んでた。

 

しかし、社会では時に車線という概念のない世界に、足を踏み入れなければいけない時もある。そんな時は、辛うじて舗装されている狭い路面をすれ違いの恐怖に耐えながらヨチヨチと進まなければならない。さながら、安い給料の為に鉄骨綱渡りをさせられている多重債務者の気分だ。

 

そんな田舎特有のゲキ狭なのに県道認定を受けたバグロードを走っているある時に、私の社用車の後ろにはバイクが一台連なっていた。バッグミラーには、黄緑色のバイクとまっ黒なフルフェイスヘルメットがゆらゆらと映っている。

 

私が車を路肩に寄せると、そのバイクはひらりと車をかわして抜き去っていった。

そのバイカーが私に礼を伝えたいのか、斜め下に手を下げて消え去っていくのを眺めて

 

あー、バイクはいいなぁー

 

って漠然と考えた。

その瞬間だった。頭の中でカチリと何かがハマる様な音がした。

 

あ、バイクか

 

何故かその時、バイクに乗れば万事全て上手くいくからバイクに乗らなければならないという妄想に至ってしまった。

 

夏の始まりで大きな入道雲が広がる青空の下、通る人の気持ちを1ミリも考えていない狭い山道の路肩に止まった軽ワゴンの社用車の中で、おそらく私はバイクに取り憑かれた。

 

そこから、終業まで頭の中はバイクの事でいっぱいだった。

 

先述で人は簡単には変われないと言ったがあれは嘘だ。今までバイクに興味がなかった私はただの一度バイクに追い抜かれただけでバイク好きになってしまった。

おそらく、人がなかなか変わらないのは、変わるのが面倒なだけだ。

 

それはともかく、一つ問題があった。バイクってとどのつまり何なんだ??

 

帰り道、セブンイレブンの喫煙スペースでパルムをほおばりながらバイクについて調べてみた。

 

えっ、ヤマハって楽器だけじゃなかったのか!

 

驚きだった。

 

その程度の知識量しかなかった私だが、調べるとどうやら免許を取らないとバイクに乗れないらしいという事だけはわかってきた。

 

思い立ったが吉日と、そのセブンイレブンの喫煙所で私は地元の教習所を調べ、その流れで中型二輪免許の講習を申し込んだ。

おそらく、飽き性な私は中型に乗れば満足して大型までは手を出さないだろうという算段だ。

 

そうして、その週の土曜日には入校の手続きをする様に予約を取った。

不思議と不安は無かった。だって、車嫌いで車の運転苦手な自分ですら車の免許は一発合格したのだ。

まさか、車の免許を取る資格がある18歳より2歳下から取ることが出来る免許なんぞに不覚をとるはずがない。

 

そうして、いつの間にか私はバイクに乗ることが決まってしまった。

なんとなく田舎道で降って湧いた興味で、バイクに乗ろうと思い至ったのだ。

 

人生は意外と予想外の事ばかり起きる。学生時代の自分に、俺は今バイク乗ってるぞと言ったら鼻で笑うだろう。

 

そして、これからも予想外の事は起き続ける。

中型バイクの免許取得に苦労しまくるのだ。

不覚をとり続ける17時間。

 

次回、中型免許講習!スパルタ教官とまずは自分の正解からしないと気が済まない俺。

よろしくお願いします。